-
2011年3月11日に発生した東日本大震災から、節目となる10年が経ちました。
しかし、先月には10年前の余震といわれる最大震度6強を観測した地震も発生していて、私たちは「コロナ禍での災害」にどのように備えるべきかをあらためて考えさせられました。避難所生活や水不足になっても身体の健康を保つためにはどうしたらよいのか、今の備えをもう一度見直す機会にしてみてください。
1995年の阪神・淡路大震災では避難生活における災害関連疾患の問題が顕著化し、被災後に肺炎によって亡くなられた方が震災関連死の24.2%を占めていたとの調査結果もあります。
誤嚥を起こしやすい高齢者は水不足などで十分な歯みがきができないために、細菌の混じった唾液が肺に入って肺炎を引き起こしてしまうケースが多いのです。避難生活では、不規則な生活、栄養不良、ストレスで唾液が減るなど、普段より口の中の衛生が保たれにくい状況になります。
震災前にはむし歯が全くなかった多くの子供たちにも多発性のむし歯が確認されたという報告もされています。その教訓から、東日本大震災や熊本地震では災害派遣医療チームに歯科医師や歯科衛生士が帯同し、高齢者を中心に口腔ケアや口腔衛生指導が行われるようになりました。
避難所で蔓延しやすい風邪や感染症に対しても、口腔ケアによる予防効果が認められています。繊維質の食べ物を最後に食べるようにしましょう。例えば、食事がおにぎりとリンゴの場合は、リンゴを後に食べます。
スポーツドリンクやクッキー等は、栄養を取るのには優れていますが、虫歯になりやすいものです。食べた後、水やお茶でゆすぐように一口飲みましょう。
ガーゼや綿棒、ティッシュペーパーなどで歯垢を拭いましょう。拭った後、あれば洗口剤やお茶でうがいをすると有効です。
<最小限の水を使った歯磨き>
*コップに水を50CC程入れます。
*口の周りを水で濡らします。こうすることで口角や唇の切れを防ぎます。
*歯ブラシをコップに入れて濡らします。
*歯磨き剤は口を乾燥させますので、水が手に入りにくい時は使わなくても良いでしょう。
*歯磨きをしてコップの中で歯ブラシをゆすぎます。
*コップの水を2回に分けて「ブクブクうがい」をします。多くの水で1回うがいするよりも、少ない水でも2回うがいした方が効果があります。人前で外すのが恥ずかしかったり、水が不足している等の理由で付けたままにされてしまう場合もあるようですが、1日1回は外して、清掃することが大切です。使い捨てのおしぼりや綿棒で拭うとよいでしょう。
入れ歯は外したままにすると、口の中の形が変わり入れにくくなる場合もあります。また噛むことだけでなく、飲食物や唾液を飲み込むのにも入れ歯は役立ち、誤嚥を防ぐことにもなりますので通常通り使用されることをお勧めします。歯科の健診を受けましょう。気をつけていても歯石や小さなむし歯が出来ているかもしれません。
早期に発見・治療することで、影響を最小限にすることができます。家族分の歯ブラシを非常用持ち出しバッグに入れておきましょう。
水を使わないで歯みがきが出来るグッズも販売されています。防災グッズ売り場や、アウトドアグッズの売り場を探してみてください。ご家庭で災害時の備えを見直すときには、お口の健康を保つための準備も忘れずに!
八幡通り歯科マガジン 災害時の口腔ケア
on 2021年3月15日
with コメントはまだありません
コメントを残す